■判断力

 指示していないものについて、「どうなっているのか」というような質問をよく受けます。「200字以内。原稿用紙を用いること。」という指示に対して、「縦書きですか。横書きですか。」と聞かれるわけです。

 こちらとしては、守って欲しい条件はすべて提示しているつもりでいます。それさえ守っていただければよいのです。縦書きか横書きかという指示は出していませんからどっちでもよいのです。

 なんでこういう質問が出るのかと考えます。すぐに思いつくのは「自分の判断に対する自信のなさ」ということです。そしてその原因を考えます。ただの推測に過ぎませんが、材料がなくて自分で判断せざるを得ないとき、絶対的な権力を持ったものから根拠もなしにその判断に対していきなりダメ出しされた経験があるのではないでしょうか。

 自分自身こんな経験がありました。小学生の時です。通っていた耳鼻科で「次は○○時までに来てください。」と言われました。そしてその指示通りに、○○時のだいぶ前(たぶん一時間以上前だったと記憶しています)に行って待っていました。すると看護婦(当時の言い方です)から声をかけられました。「芳野さん。何しているの。」と。私は当然のように「○○時までにと言われたので、待っています。」と答えました。するとその看護婦が怒り出したのです。「○○時まで、というのは○○時にという意味だ。」と。病院内です。看護婦と患者の小学生です。看護婦に絶対的な権力があります。私は泣き寝入りするしかありませんでした。根拠が無いどころか看護婦が間違っています。けれどもその場では屈服するしかなかったのです。

 縦書きか横書きかの指示がないので縦書きで出したら、「なんで横書きにしなかったのか。縦書きじゃだめだ。」というようなことを言われた経験があるとしたら、それと同様の経験があるとしたら、そりゃ自分の判断に対する自信を失います。ひどい場合は判断すること、そしてその判断に基づいて行動することもできなくなってしまいます。

 学校という場について、もっともっと考える必要があると日々痛感しています。