■本の話 1

本の話をしようと思います。書評というわけではなく、推薦図書です。

 

今道友信、『西洋哲学史』、講談社学術文庫、1987年。

 

言わずと知れた日本の美学界の巨人です。この本を読んでいると、この人は本当にすごい人だなと思います。西洋の主要な哲学者についてはほぼすべて触れられています。そうなると当然のことですが、一人一人のことについては短くなります。それがすごい。理解していなければ要約はできないわけで、それをさらにかみ砕いて実にわかりやすく記している。所々に出てくる筆者の個人的な見解も、思わずうなずいてしまいます。

「ウニヴェルジタスのuniというのは一つを意味するunumの変化で、versitasという部分はvertoという動詞と関係いたしますが、これは結局、方向をもつという意味でございますので、ウニヴェルジタスとは結局、一つの方向に向かって、つまり一つの目的にむかって合体した人びとの集まりという意味でございます。」

「教授と学生と、それからその二つのものを助けていく管理的な事務をする人びとの組合、それがウニヴェルジタスです。
どうしてそれが一つの組合をもたなければならないかというと、それは国家権力や社会の要求ではなくて、真理(veritas)の研究を目的とする人びとの集まりという意味であります。」

この言葉は、肝に銘じておかねばならないなと強く思います。学生よりも大学の教員に読んでもらいたい本です。